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経済産業省「SOHOとは?」2001年原稿

  • 2008/04/29(火) 01:58:40

●『時と場所に制限されない、新しいワーク&
ライフスタイルをもつSOHOとは、なにか?』

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SOHOは英語で4000万件、日本語で280万件以上のURLがヒット!
 しかし...

 SOHO、政府、自治体、議員、企業、研究者は必見!
 あなたのSOHOイメージは誤解に満ちていませんか?


河西保夫(かわにしやすお)
前財団法人日本SOHO協会副理事長、(株)クラブハウス代表
(2001年、経済産業省 依頼原稿より)


1)「時と場所に制限されない、ボーダーレスの電子遊牧民たち」
2)SOHOの定義、人口、市場規模、必要なサポート領域、現状
3)ネット社会経済という、未知の領域にSOHOはいる
4)急速な社会のSOHOシフトに対応できない制度と課題

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1)「時と場所に制限されない、ボーダーレスの電子遊牧民たち」

●SOHO(スモールオフィス・ホームオフィスの略称)は21世紀の入り口に前後して突然始まった大組織型社会の崩壊と無縁ではない。「組織のデジタル化とフラット化」、「年俸制の導入」、「アウトソーシング」、「ホワイトカラーの生産性向上」をテーマに した様々な改革。簡単に言えばホワイトカラーのプロフェッショナル化であり、「組織からの自律化、独立」である。
 さらに地球レベルでのデジタル革命・インターネットに象徴されるIT化が、自宅でも自立した仕事を遂行できる仮想社会をSOHOに提供した。よく誤解されることだが、SOHOは何も独立した小規模事業者やインターネットを駆使するITワーカーをのみ指していうものではない。ましてやSOHOという専門職業があるわけでもない。

 巨大ビルのオフィスに「9 to 5」の定時通勤をするのではなく、ネットやモバイルを活用した「フレックスタイム&プレイス」で仕事をするサラリーマンのSOHO化から、家族となるべく共に生活することを優先する在宅勤務。主婦や女性在宅ワーカー、障害者のネットを通じた社会進出。あるいは中高年世代やNPO活動の「脱企業的ライフスタイル」としてSOHOは注目されている。
 ネット、モバイルの国内利用人口7000万人という「新しい価値観を持つ巨大なネット社会の誕生」で、子供たちまでモバイルで情報武装し、個室や路上から気分次第の「気まぐれ消費市場」を揺り動かしている時代。
 SOHOとはそんな素早く抜け目ない社会の変化に適応するため進化したワークスタイルである。インターネット革命が生み出しつつある「時と場所に制限されないはたらき方」が、今までの仕事場や「自宅の意味・生活の常識」を変える世界同時進行の、200年前の産業革命にも匹敵する「ワーク&ライフスタイル意識革命」を進行させている。

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●SOHOにとって重要なことは、従来の企業のように必ずしも事業の収益性ではない。
「自分に相応しい等身大のワークスタイルとは?自分は何者なのか?」
 基本はワークスタイルの『自己最適化』をどうするのか? という課題につきる。
 収益モデルを選択すれば、ベンチャー系SOHOとなり、生活支出を落としても「時間消費」を優位におき、遊びや余暇を重視するなら、バカンス系(あるいは最近流行りのマタ~リ系?)SOHOといったように、自分がどういうワークスタイルで『自己最適化』を計るのか、その「はたらき方の自由度を自分で選択できること」が重要なのだ。
 例えばSOHOの中心といわれる「情報・サービス」産業分野は全国で約600万人300業種あると推定されている。以下のように従来の産業区分よりも「ベンチャー」「クリエーター」「有資格・専門家」系のタイプ別でそのワークスタイルをとらえてみると、SOHOの多様さがみえてくるだろう。


●「ベンチャー」---
市場での差別化、成長性が存在価値である「ベンチャー」はもっともビジネスライクで、当然だが大組織以上に売り上げと収益性には敏感。組織拡大志向もあって、IPO(株式市場公開)が当面の目標であるが、SOHOに近いところでは「渋谷ビットバレー」に象徴された先のIT系公開ブームが、わずか16カ月で失速したように、当然のことであるが、国民ワークモデルではけっしてない。
 政府やマスコミ、産業資本インキュベーターは、行革の果てに「国民レベルの自由競争原理」を導入しようという論調を90年代後半以降つくり出したが、IPOが可能な条件をもつベンチャー事業者は0.05%であり、30%以上の事業者は開業後数年以内に活動を停止している。


●「クリエーター」---
自己表現志向が強く、マスコミ、芸能ショウビジネス、コンテンツ業界等、とにかく忙しいが、収益性よりも作品の成果を重視。最も競合の激しい 産業形態で報酬体系が無いに等しいこともあって、職人気質の「ギルド」的閉鎖性も特徴だ。
 音楽の小室氏や田尻氏(ポケモン原作者、関連市場は一時期、世界で6000億円規模)のように作
品が市場で当たれば、個人的収益は店頭公開どころの比ではないともいわれる。もとより、市場投資家の影響に拘束されるIPO制度、あるいは事業マネージメント自体に無関心な傾向があり、その中核たるコンテンツ産業の職業も300業種をこえるといわれており、実態はつかみきれていない。
 またネットの普及でインディペンデントな活動発表の場がWEBに移動したため、アマチュアとプロの境界線がいよいよ曖昧とされ、1年間に印税をえた著者、作家は8万人、マンガ家予備軍80万人、東京だけで劇団が3,000団体もあり、その大半が兼業を余儀無くされている。


●「有資格・専門家」---
自立した建築家、翻訳家、コンサルタント、エンジニア、会計士、弁護士など、いわゆるサムライ業などの専門職で、大組織とSOHOを往復するタイプが少なくない。しかし、税理士、弁護士に象徴されるように、資格による社会的地位の保障と価格維持という一種のトラスト制度によるメリットも規制緩和による自由化で、最近は幻想になりつつある。
 IT革命により価格競争、エリア参入の自由化はさけられず、従来の大手組織クライアント偏重の営業スタイルから、市場の大衆化で「すべてのSOHOに顧問弁護士を」という市場開放も時間の問題といわれている。


「情報・サービス」分野のSOHOだけで、こうも傾向が異なるのだから、SOHO像を単純化して語るべきではない。
 これに旧来型の製造、卸、小売り、飲食、建築などの中小・個人事業者、さらに副業タイプのサラリーマン副業、主婦、学生、中高年、障害者、NPO、あるいは中間法人といわれる宗教、教育、文化、スポーツ、議員事務所なども、小規模事業者であるSOHOの戦列に加わるとみてよい。

 そうした意味で、大組織を通じてしかこのクニを語ってこなかった視点とは異なり、SOHOは文字どうりNYのアーチストたちの通りであるSOHO街のように、そのイメージは自由本奔放で捉えどころがない。個人のワークスタイルを自分自身の手でコントロールし、自宅や仲間との共同オフィスで、ハリウッドの映画制作会社のように、デジタルなタスクワークチーム(目的別協同作業)をつくり仕事をする。生活を楽しみ、仕事を愛し熱中するあまりに、彼らが生み出してきた効率的なネットワーク組織の原型がそこにある。
 SOHOを一言で説明するのは難しいが、『時と場所に制限されない新しいワーク&ライフスタイルをもつ、ボーダーレスの電子遊牧民たち』というイメージだろうか。


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2)SOHOの定義、人口、市場規模、必要なサポート領域、現状

●本来、SOHOという名称は、95年頃からNYのシリコンアレー(SOHO街を含むマンハッタン南地区)のコンテンツ産業の小企業やアーチストがネットやIT技術の普及でマーケテティング(サイト構築、企業のアウトソーシング)をするようになり、その動きをIBMやシスコが、『顧客としてのSOHO』として捕らえ、NY市もNPOを通じて格安でファイバー布設をするなどSOHO都市開発支援をしたので、マスコミがSOHO街をもじってブームとしてあおったことが由来。
『スモールオフィス/ホームオフィス』形態は、ファックスやパソコン、携帯電話が普及しはじめた80年代から日欧米のベンチャー、資格業、クリエイティブ、コンンテンツ産業ではポピュラーなもの。いまや八百屋さんまでがネットを活用しはじめているから、SOHOに職種は無関係だが、比較的コンテンツ系産業がその中心だ。


●原点は60年代のカウンターカルチャー、フィリップマロー著の『就職しないで生きる』あたりの精神からうまれたオルタナティブなワークスタイルに求めてもよい。日本でも80年代の糸井重里氏(コピーライター、当時のイメージリーダー)あたりのカタカナ文字専門職台頭の社会的ブームにより、『独立してプロとして生きる』こと自体は、昔から若者層にはひとつの憧れとして、歓迎されてはいた。成熟市場で商品の差別化戦略で成長してきた企業もメディア産業も、当時から先端SOHOのライフスタイルを「高度消費主義の都市型モデル」として煽ってきた結果、若者層を中心にSOHO予備軍としての「フリーター」(150万人)を創出しているという指摘もある。


●全米ではよくSOHO、4200万人(ホームワーカー限定人口)という数字がでるが、定義は曖昧。日本SOHO協会では、とりあえず、規模だけで見た広義の国内SOHOを全産業で10人以下のオフィス、500万事業所(法人150万ケ所、未法人350万ケ所)、就業人口約1500万人(総務庁2000年)とし、そのうち日常的なIT活用者を、狭義のデジタルSOHOとし、利用率50%程度、オフィス250万ケ所、人口約750万人と見ている。これは全ネットユーザーの10%程度であり、日常化するインターネット利用の現状からすると、過小評価といえるかもしれない。(10人以上規模のオフィス勤務者によるIT利用人口、事業所届けをしていない、みなし法人、副業タイプの在宅ワーカー、フリーター等のSOHO予備層人口は含まれていない)
 ちなみに、日本テレワーク協会では、独自の視点で国内SOHO人口を約100万人(2001年末)としているが、これは逆に企業の在宅勤務者などテレワーカーのみをSOHOとして定義していると思われ、日本SOHO協会の見解とは大きく異なっている。専門家のあいだでもいくつかに見方が別れているのが現状である。
 また、上記の視点とは異なるが、国内には800万人以上の自営業SOHOオーナーが存在しているといわれる。(中央就業調査報告98年)


●いわゆる大企業の在宅勤務、テレワーク、サテライトオフィスと呼ばれるものもSOHOといえるが、今後ブロードバンドの家庭導入で、作業効率のアップや経費縮小を計る企業のSOHOシフトの本格化、またサラリーマン、主婦、学生の「副業的SOHO」の急増が予想されている。
 これは、かって工場がアジア諸国の低賃金エリアに移動して「産業の空洞化」が叫ばれた時期があったように、ホワイトカラー業種においても、本来「個人に属する生産能力の場」が、通勤などで非効率な大企業の集団オフィスから、サラリーマン在宅や低賃金の生産能力の高い自営型のSOHOに、アウトソーシング可能な情報環境が整備されつつあることを意味している。今や大企業とSOHOの生産現場での技術的環境格差はほとんどない。

●SOHOの事業規模は、政府就業別調査によると
「9~4人規模で、平均5.2人、売り上げ8.000万円(サービス業)~1.2億円(製造業)
フリー、自営業で平均1.6人、売り上げ800万円(資格業)」

●10人以下(平均3人)のSOHOの年間事業所維持費(人件費、外注費、生活費を除く損金計上科目)は、法人150万社×@670万円、未法人350万社×@370万円の計(日本SOHO協会調査、平成11年)で、少なくとも、すでに『約20兆円規模のSOHO維持費市場』が存在している。

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[SOHO維持のための主なサポート領域]

・コピー、FAX、プリンター、融合機、DTPサポート
・E-mail(メーリングリスト、メールマガジン、掲示板、チャットBBS)
・モバイル(携帯電話、次世代IMT携帯=認証端末、ノートブック、PDA)
・インターネット(WEBサイト、ブロードバンド、動画BBS、EC決済、ポータルサイト、アフィリエイト)
・ソリューション(LAN、サーバー、セキュリティ、ワクチン、CRM顧客管理DB、ASP、ID電子認証)
・電話通信割り引き、BB PHONE、電話秘書代行、総務アウトソーサー
・マネージメントサポート(設立補助、財務、法務、労務、教育、経営コンサル、デジタルサポート)
・オフィスデリバリサービス(例/ビジネス専門、コンビニ、生協、カタログ通販)
・郵便、DM、ポスティング、バイク便、宅配便、トランクルーム、SOHO物流センター
・SOHO移動交通(タクシー、高速チケット、国内海外エアライン特割、新幹線、ホテル宿泊)
・SOHO住居(戸建て、マンション)、共同SOHOオフィス(ホテリング、インキュベーションセンター)
・SOHO交際、必要経費(ビジネスカフェ、飲食、接待、ゴルフ、ギフト、冠婚葬祭、アパレル衣料、書籍など)
・SOHO対応型リビング家具、什器、高機能・デザイン事務用品、クリーニング、引っ越し、備品
・24時間対応ネット銀行&ノンバンク 、法人クレジット、ネット証券、リース、保証協会などSOHO向け金融全般
・SOHO向け福利厚生(例/ビジネス型COOP、ITリゾート保養所、一時保育所、健康診断、人間ドッグ、スポーツ施設)
・SOHOスキルバンク、人材エージェント(派遣、委託、ネット人材バンク、SOHO電話帳)
・SOHO与信、マッチング(B2Bマッチング検索、事業所スコアリング、契約代行、保証制度)
・SOHO型各種保険(収入保障保険、社保に替わる積立型保険、退職金型保険、401K、ITトラブル、車自賠責)

*支出のデジタル/テレワーク関連比重が年々高くなっている。


●ここで注目すべきことは、財務省も認めるように、納税において重要な自営系のSOHOの会計は、従来より法人領域とオーナー、その家族の家計領域が、不可分な関係になっていて、大企業中心の会計項目体系では税務的にも正確に処理不能であることである。つまり、SOHOで購入される備品、書籍、交通費、飲食、日常的な消費材の大半が必要経費として認められており、住居費、電光熱費の50%も慣習として必要経費なのである。この構造が、同時に急速拡大しているネット市場の構造と将来に与える影響は大きい。

 自由化、IT化により、かっての大組織生産者と消費者双方の与信ルールが崩れ、終身雇用と大企業の土地保有を担保に計上されていた日本経済の将来シナリオは、大きく変更されつつある。SOHOの不動産購入は法人か個人のどちらの領域で実施されるかが、税理士の腕の見せ所といわれる。厚生年金などの社会保険制度からスポイルされたSOHOが、401Kや年金型民間保険市場に向かうように、個人資産と法人資産領域の曖昧な、「生産者と消費者を兼ねたSOHO」の台頭は、国や自治体、企業にとってもやっかいな存在といえるだろう。
 ちなみに、企業の営業部門には、一般に法人部とコンシューマー(個人)部門があるが、SOHOはその中間的存在として担当が不在であり、販売マーケティングのバージン領域といわれている。
 孤立し単体では、政府からも企業からも存在を軽視され、訴求対象にもされなかったSOHOであるが、「IT革命のよるインターネットでの自己存在証明の場」が与えられたことで認知され、今やその存在はバイイングパワーとしても巨大である。


●今後は、自宅のIT化によるホームワークの増加が、通信、交通移動、住宅産業の根幹を揺さぶるだけでなく、家電、飲食、アパレル、インテリア空間、教育、子育て育英産業の将来ビジネスデザインをかえていくことは、さけられないだろう。すでに住都公団は、従来の「自宅では仕事をしてはいけない」という、「職住分離型」モデルの関連法規を変更し、都心にSOHO型住宅、SOHO型高層マンションの建設を開始し、一部の発売では50倍近い人気を得ているという。
 大正時代の近代サラリーマンモデルからスタートし、50年代のアメリカンライフを目標においた日本社会の「郊外型ライフスタイル」モデルは、いまや大きく「職住一致型」モデルへとシフトしはじめているとみていいだろう。

 また、いわゆる国税、地方税においても「5割把握」がもっぱらといわれており、副業型在宅主婦SOHOのように、サラリーマンの主人の扶養家族控除(年間収入84万円以下は控除)のメリットがある限り、数百万規模と言われる潜在SOHOである彼女達は、公的機関の統計で把握しにくい。
 「大衆デイトレーダー」といわれ、ネットボードで株式取引市場に分単位で参画する、自己資産管理タイプの証券顧客をSOHOとみるかどうかは、意見がわかれるだろうが、資本主義的マネーゲームに大企業と同等のサポート機材をえて(しかも多くはネット証券による無料提供)PCにむかっている様は、究極のホームワークスタイルといえる。
 そういう意味でも、SOHOを単なるワークモデルのひとつとしてしかとらえきれていない、従来の公的施策、企業マーケティング、アカデミズム、マスコミ報道は、SOHOの本来の姿を理解しているとは言いがたい。SOHOにも家族や養育すべき子弟、介護すべき老父母がいるだろう(家族人口推定4,500万人)。仕事だけでなく、空間があり、金融、消費経済、家庭、教育、文化、政治、様々な領域があるのは当然のことである。


テレワークは国策でもある



3)ネット社会経済という、未知の領域にSOHOはいる

●近く1000万世帯に導入されるというブロードバンド、家電業界のITシフトそのものが『自宅のホームファクトリー化』を推進していくので、潜在的なSOHO予備軍人口ははかりしれない。MITのある教授は「やがてすべてのひとがSOHOとなる」と予測している。
 
 2000年現在、ネットユーザーは約4000万人、日本語によるホームページ総3600万。
 『Yahoo! japan』の1日のページビューは延べ2億人を超える。
 メールマガジンの取次配信をするSOHOから公開企業に育ったイ ン タ ー ネ ッ トの 本 屋 さ ん『まぐまぐ』では24,000種類、延べ3000万部のMLマガジンを扱い、カタログの登録読者は250万人規模で、すでに一部の全国新聞紙の発行部数を超えている。しかも発行人の大半がSOHO系であり、ビジネス系の多くが自社の顧客管理のためのパーミッションマーケティングのためのメディアとして活用している。
 SOHOが集結した低価格出店料のオンラインショップモール『楽天市場』の成功も有名だ。

 SOHOは小さくなればなる程、家計とSOHO運営が限りなくかさなっているので、ユニクロ、MUJI、ナイキ、SONY、ドコモなどでは、ライフスタイルモデルとしてのSOHOに注目し、120万社以上のSOHO口座をもつアスクル(商材デリバリ)も急成長している。SOHO自体が優先的に支出のある(損金計上が可能)コンシューマズ(家計)市場としてとらえるべきかもしれない。重要なことはこのSOHO市場の主要部門が『ネットポータル』(B2B、B2C、C2C経由での包括的取引)サービス支出を高めつつあることだろう。


●今後の市場は最大の事業所口座をもつSOHO市場対策無しでは、eコマースビジネスは成り立たないといわれている。つまり、SOHOは『未組織労働者=零細事業者=高度情報資本主義の中核=高度情報消費者』であるがゆえに、組織には無い意志決定の速度において、本質的に『速度市場競争』には優位にたち、IT型先端市場経済発展=既存市場ルール破壊のトリガーもになっているという指摘である。
 現在のヤフーオークションが常時、約20万物件を主婦やSOHOから預かり、SOHOオーナーを中心としたデイトレーダーを顧客に持つ松井証券がネット顧客のシエアを他社から短期間で奪ったように、組織変化、意志決定、価格競争力、人権費比較でみてもSOHOはIT市場の主役ともいえる。これは今後70~200兆円まで急速に拡大するといわれるネット市場において「生産・流通組織の崩壊」と「組織から個人へのパワーシフト」を裏付けているように思われる。

 ネットNPOの動きも無視できない。20代の若者たちが無償で始めた巨大ネットサークルともいえる総合掲示板『2ちゃんねる』には、毎日80万人(延べ利用者350万人)が訪れ、森羅万象のテーマ(無料掲示板は2万種類規模)について書きこみやチャットがなされ、時には小泉ブームを演出し、嫌中国・嫌韓国運動(プチネットナショナリズム)の拠点ともいわれる。マスコミよりも速い現場からの一般人による報道や、参加者が散逸的に無償で行う情報収集整理の速度性は、大変便利であり驚異ですらある。歴史的にもいままでなかったタイプのメディアであり、コミュニティといえる。
 しかし、その匿名性から可能なオフィシャルな組織の内部告発や特定個人、団体への誹謗中傷は、同時に人権擁護を無視した数百万人の「巨大な落書き」ともいわれ、ネットリテラシー(ネット上の社会規範)批判とともに、ネットデモクラシー議論も盛り上がっている。

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●注意すべき点は、インターネットは当然のことながら、仕事や生活の便利な道具でしかない。「ネットを使用して儲けるのではなく、利用しなければ、ビジネス、コミュニティにおいて存在自体が認知されない」という新しいルールが重要といえる。つまりURLのない者は検索エンジンにサーチされないので、やがて「世界に存在しない」ことになってしまうのかもしれない。
 これは『会社四季報』や株式公開市場(公開事業社は、たかだか3000社程度)に無縁な圧倒的多数の国内600万社といわれる事業社の大半を占める小規模事業者、SOHOが、歴史的にどのように法人資本主義のシステムのなかで扱われてきたかを考察すれば、その重要性と深刻さは理解できるだろう。
 むしろ、最近は単にWEBサイトを開設しても競合が多すぎて、レスポンスは簡単には得られない。ブランドロイヤルティが価値を持つ事業やサービスの「ワンストップ化現象」と新規参入による急激な「価格
破壊」が、逆にIT市場全般の急成長のアキレス腱となり、株価の失速を招くなど、産業革命のときにもあったラッダイト運動(機械化で職を奪わた失業者による機械打ち壊し現象)にも似た「アンチPC、IT」ムードもただよいはじめている。

「事業モデルが3か月しか続かない」といわれるネット経済は、人類には未知の体験なので、まだその真価はみえていない。ひとついえることは、大企業や行政府でなくとも、市場的に価値を持つサービス、コンテンツがあれば、たとえその作り手が子供、主婦、中高年であっても、市場はけっして差別をしない。
 一時、マスコミが「SOHOは辺境の田舎であっても、家族の介護をするために通勤できない者にも仕事ができる」と競ってSOHOを紹介したが、それ自体は基本的にまちがっていない。ただし、その場所は今のところ残酷なまでに「自由な競争に満ちている」世界ともいれる。


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4)急速な社会のSOHOシフトに対応できない制度と課題

●では、そうした生活者の急激な変化に対して、社会はどのように対応したか?
 2000年の暮れ、新政府体制発足の直前、『SOHOによるSOHOのための公益法人』財団法人日本SOHO協会が発足している。96年に初めてSOHOギルドというNPO活動をはじめ、世間に『SOHO STYLE』の提唱と公的なサ
ポート体制の確立を訴えてから7年、この間大きく世間は変化していった。
 国民すべてをネット化させる国策の『e-japan』構想が発表された99年、当時の与党幹事長と会合した時点で、議会内にSOHO反対論者はいなかった。通産、郵政、労働のSOHO関連主要3省の大臣も、SOHO支援を明確に議会で答弁している。その後、SOHO理解者の竹中慶応大学教授はIT経済担当大臣に就任し、橋本元総理も自ら渋谷ビットバレーエリアに足を運ばれている。しかし、この動きが社会全体のSOHOシフトに反映
できているかというとそうではない。

 SOHO協会もこの間、SOHO支援のため、大蔵省令通称『PC特別減税』の延長をはじめ、『国民規模のIT講習』公的支援等いくつかの提言を実現させてきた。他にも『SOHO電子基本台帳開発』(SOHOデレィクトリ)要請(2000年度の研究実験実施/*注1)、『SOHO電子政府促進整備』プラン(*注2)は、実施されれば、今後サイバー政府やユニバーサルサービスの窓口としての機能をもつことになるだろうが、政府のSOHO政策、投資はまだ本格化してるとはいえない。


●労働組合のないSOHOの労働福祉環境は、『自由化=IT革命の推進』で逆に過酷さを増している。また全事業所シェアの24%をもつSOHOの多い専門業、サービス業種とわずか0.3%しか占めていない農林水産業系事業所との公共投資格差は、実に100倍に及ぶ。


●行革推進と景気浮揚のためにも、『官公需の建築・土木分野からIT、SOHO分野への
シフト』、SOHOの経営近代化、業務安定化、労働福祉環境の整備、デジタルシフト支
援、ポスト終身雇用型就労であるSOHOの男女就業、育児、小子化対策等の『SOHOの新
家族計画』モデル開発は、国のネクストビジョンで、急務の課題だろう。


●10年以上連続して我が国の開業率は減少しており、安全ネットの弱い掛け声だけのベンチャー育成をしても、受註競争の激化、価格破壊を招くだけであり、市場の拡大、雇用促進には直結しない。むしろすでに各業界でプロフェッショナルとして事業を展開する我々SOHOの基礎体力を強化し、『国民規模のSOHOの大きな家』といえるナショナルセンターをつくり、中高年の企業退職OBのSOHO社外役員就任や、若者層の新規雇用を促進させ、共通の安全ネットとインフラ基盤整備を強化するほうが、その規模から現実的な失業対策となり『永年の職人的スキルをもつSOHO』を市場にとどめ、来る高齢化社会のなかで活かす構造改革につながると思われる。


●10代の米国人が開発した『グヌーテル』というサーバーを経由しない音楽コンテンツ自動収集ソフトは、ネット上を妖怪のように徘徊し、個人のPC端末から著作権どころか所有権さえ無視して勝手にコンテンツを「盗んでいる」。しかし追跡どころか我々はその事実にさえ気づくこともない。そういう従来の資本主義的ルールの外にうまれつつあるのがネット経済社会であることが、SOHOを語るうえできわめて重要だ。


●ちなみにgoogleによるSOHOキーワード検索では英語で177万件、日本語で28万件以上のURLがヒットし、現在も1カ月に1万件以上のURLが増加中である。SOHOというキーワードが誕生して7年たつが、その勢いは現在加速度を増しはじめており、ベンチャーに匹敵する一般用語として一般社会に定着してきたとみてもよいかもしれない。未来の歴史家は現在をIT変革による個人の『ワークスタイル革命』の時代、『SOHO誕生の時代』と名付けるかもしれない。


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*注1●『SOHO電子基本台帳整備』

SOHOの「個人プロファイル」と「事業所活動概要」を二つの公開型WEBディレクトリーにて自主エントリーし、認証、与信とリンクしたワンナンバーによる『SOHOーID』を発行。500万社を超える未公開事業所のための「SOHO版有価証券報告書、会社四季報」として機能させる公的標準プラットフォーム。これによりはじめてSOHOはキャリア自己証明が公的に可能になり、B2C,B 2Bの与信、各種ジョブマッチング、トレード
、貸し渋り対策、信用創造が可能になる。00,01年度政府予算により日本SOHO協会で開発し、基本データベースの検索プログラムは一般公開されている。
http://www.j-soho.or.jp/

*注2●『SOHOサイバー政府プラザ』

SOHOが活用可能な政府、公的機関の支援サービス施策をWEBで一元検索公開可能にする。金融、住宅、保険、年金、雇用、労働環境、税務、経営、法務、教育、育児、休暇、福利厚生、環境、通信など案件数は3万件規模。縦割り行政の弊害でSOHOがそれを簡単に活用することは困難。ネット上の『ワンストップ化エイジェント』で、事実上効率の良いSOHOサイバー政府が登場する。

以上


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●かわにし・やすお
1960年生まれ。出版社(株)クラブハウス代表取締役。前財団日本SOHO協会副理事長。『SOHOギルド』の提唱者。『ルナパーク』開設運営(100万人動員)『JAS777/インターネット虹の機体デザインコンペ』他企画多数。95年以降のSOHO運動では大蔵省令通称『PC特別減税』の延長、総務省『SOHOディレクトリー』等の成果を得る。『SOHOSTYLE』『SOHO独立開業ビジネスの素』シリーズ刊行。コクヨSOHO、『JCB SOHO
STYLE法人 CARD』、ジャパンネット銀行『SOHO ACCOUNT』開発協力等
編著/「オリコンNO1ヒット500」「無党派時代の智恵」等.

日本SOHO協会 http://www.j-soho.or.jp/  
SOHOギルド  http://www.sohoguild.co.jp/ 
E-mail kawany@sohoguild.co.jp
----------------------------------

*この原稿は、2001年に経済産業省系の機関に依頼され、執筆したものを、02年7月に加筆修正したものです。リンク、引用、部分転載は出典を明記していただければ自由ですが、まだ出版未公開のものなので、全文転載の場合は許可が必要です。

Copyright(C), 2002 CLUBHOUSE/ KAWANISHI YASUO

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